そもそもどうして「郵政民営化」で大騒ぎなのかな?(郵政想定問答集)
at 2005 09/10 01:59 編集
Q.そもそもどうして「郵政民営化」で大騒ぎなのかな?
A.郵政では郵便事業以外に郵便貯金・簡易保険で多額(340兆円)のお金を国民から集めている。このお金を自由に使いたいというのが第一の理由。
Q.お金を使うのは誰?
A.340兆円がそのまま現金であるわけではないし、100兆円ぐらいは特殊法人に喰われて不良債権化しているという説もあるけど、まだまだ大金であるのは確か。現在の日本には巨額な資金を運用する能力のある投資会社が無いので、アメリカの外資に委託する可能性が大きい。
Q.お金は官から民へと流れるってことだけど
A.前の説明のように、そうとは限らない。そもそも官に資金があること自体が悪とは限らない。良い悪いは別として、郵貯のお金が日本を支えている面もある。現在は郵貯のお金で国債を買ってそれが国の経済をまわしている。その流れが途絶えると現在の景気はますますひどいことになる。
Q.そうすると郵政民営化はアメリカは大歓迎?
A.大歓迎どころか、9年前からアメリカは「年次改革要望書」というのを日本に突きつけて要求してきている。この「年次改革要望書」は秘密でもなんでもなくて、アメリカ大使館のホームページに掲載されている。
※ 「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本国政府への米国政府要望書」(和訳)
http://japan.usembassy.gov/j/p/tpj-j20041020-50.html#mineika-s
よく読むと、この要望の中身がそっくりそのまま「郵政民営化法案」となっていることがわかる。
Q.例えアメリカの要望だとしても、お金が運用されて利息が入るのならいいのでは?
A.アメリカ国債を買うという事は、アメリカの戦費をまかなうということ。ありもしない大量兵器をでっちあげて始めたイラク戦争や、次のどこかの戦争に使われることになる。それからアメリカ国債といえども暴落の危険はある。
さらに、運用資金の問題だけならともかく、民営化して株式会社になればその株式を取得して保有しようというところも現れる。身近な例では、長期信用銀行が大蔵省(財務省)により破綻させられて、アメリカのリップルウッドに買い取られた件。今は新生銀行として業務利益を出してるけど、破綻時の不良債権の補填には税金が1兆円以上使われていてそのお金は戻ってきていない。
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Q.330兆円がそっくり外資の手に渡るなんてことは想像できにくいけど。
A.330兆円の所有権ということではなくて、運用する権利が渡る可能性があるということ。資金の運用は新しくできる持ち株会社が行うけど、その持ち株会社自体の株が公開されて売買の対象になる。NHKや航空会社などの公益的な事業会社は、外資持ち株比率制限というのがあって、所有権が外資には渡らないように法律で規制している。ところが今回の法案では、この規定はない。「国が3分の1を保有する」 という条項はあるが。この 3分の1 という部分を 51% にすれば良いのだが、いくら野党や法案反対派がその要望を出しても、小泉-竹中ラインは受け入れなかった。
これは将来的には外資に売却するつもりの法案とみなされてもしょうがない。
Q.郵政民営化は小泉さんの持論だときいたけど。
A.郵政民営化が小泉首相の元々の持論であるのは事実。その理由としては以下のような噂がある。
1.銀行族(大蔵族)として、郵政で行っている郵貯はライバル
2.自身の最初の選挙では落選したが、この時に地元の特定郵便局長は支援を行わなかった
3.自身が郵政大臣を勤めた時、郵政官僚との関係は険悪だった
考え方によっては、郵政民営化を持論とする小泉氏をアメリカがいろいろとバックアップしてきたのかも。
Q.野党や評論家でも郵政民営化を支持する人がいるのは?
A.郵政の元々の大きな問題は、郵便貯金・簡易保険に集まった資金が財政投融資制度を通じて特殊法人に流れていた事。流れたお金は、超高額の退職金や無意味ハコモノなどで無駄遣いされてしまった。
この流れを断ち切るためには、郵政民営化が必要だと言うのはまっとうな認識。
Q.民営化しないと特殊法人に流れるのを防げない?
A.そんなことはない。実際に現在の郵政公社では、財政投融資から特殊法人へということはすでにできなくなっているからこの理由はもう通用しない。
Q.郵政民営化が改革の入り口ってことだけど?
A.それではこれまでの4年間はなんだったのかな。
入り口まで4年かかるんだったら、出口まで何年かかるか見当もつかないのでは。
Q.改革の本丸というのは?
A.おそらく「道路公団民営化」が一の丸なのかもしれないけど、これは改革でもなんでもない。無駄な道路は相変わらず作りつづけてるし、なにより利権の癒着構造はそっくりそのまま引き継いでる。7月に談合疑惑で逮捕者まで出してるのがその証拠。
Q.20万人以上の公務員が減るのは大きいのでは?
A.人数が減っても、国家財政には何の影響も無い。郵政公社は独立採算制で初年度から黒字なので、税金は1円も使われていない。
なので人件費が減って財政赤字の減少に寄与するなどと言う事はない。
Q.こういう話がTVや新聞などのメディアに載らないのは何故?
A.アメリカの年次改革要求書の件は、ほとんどTV・新聞には載らなかった。実際には国会の質疑の中で野党議員は何ヶ月も前から質問として出していた。
これがメディアに載らなかったのはメディアの作為。
※ 年次改革要求書の件は、ようやくつい最近になってポツポツとメディアにもでるようになった。
Q.メディアの作為の動機は?
A.いろいろ考えられる。
政権側からなんらかのオファーがあったのかもしれないし、普通に考えれば巨大な規模の民間会社ができるのだから、当然使う広告費も莫大になる。メディアとしては民営化に賛成、というのはもっともな話。
Q.そもそも郵政民営化なんてまったく興味なかったんだけど。
A.去年の世論調査では、郵政民営化に関する関心はせいぜい数%。これを莫大な経費を使って、一般に広告宣伝した。
Q.知り合いに、キミはB層だねって言われたんです。
A.竹中財務大臣が自身知り合いの「スリード社」という会社に郵政民営化法案のプロモーションを発注。
その企画書の中に
「B層にフォーカスした、徹底したラーニングプロモーションが必要だと考える。」 とある
表では、IQ(知能指数)が縦軸
B層は、主婦層&子供、シルバー層として IQが低い層に位置づけ
つまり、B層イコール
「小泉内閣支持基盤具体的なことはわからないが、小泉総理のキャラクターを支持する層内閣閣僚を支持する層」と分析されてるけど、思い当たる事はある?
Q.公務員、官僚の方は郵政法案はどう思ってるのかな?
A.官僚の6割は郵政法案を支持しているというアンケートを見た。つまり官僚にとってはなんら困る法案では無いということ
。
Q.海外での郵便事業の民営化の実例は?
A.海外で郵便事業を民営化してうまく行っている例はない。アメリカ、イギリスはそもそも郵便事業の民営化を行っていない。ちなみにイギリスは、飛行機・電話・ガス・鉄道などほとんどの事業は民営化しているが郵便事業は例外。
Q.郵便局の数は減るのかな
A.ニュージーランドでは、1987年に民営化を行った結果、郵便局の数は5分の1になり国民の怒り爆発。普通の経済原則からすると、そのぐらいになるところを無理に存続させるとすれば、その分は当然収益の圧迫要因となる。つまり、税金で補填するなどのことを行う事になり、民営化の意味が失われる。そもそも郵便局は減らない、などという口約束を信じるのが大間違い。赤字国債30兆円を発行しておいて、「公約を守れないことなど大した事ではない 」 と言ったのは誰だったか?
サイトはこちらです。
http://easyform.net/bn/Fx.exe?parm=ns0077!kumiKM=QAYuusei.htm
上記サイトに「当想定問答集に関する著作権は主張しません」とありましたので、転載させていただきました。
文責★遊牧民★
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