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御手洗会長、これが亀井大臣が言った「社員にやさしい日本的経営だ!」 
http://www.asyura2.com/10/senkyo76/msg/1008.html
投稿者 明るい憂国の士 日時 2010 年 1 月 01 日 02:15:57: qr553ZDJ.dzsc

 田中角栄元首相の敏腕秘書として誉れの高かった早坂茂三さんの本に、これぞ日本的経営!という素晴らしい文章がありました。
 山形で創業三百年余り、先祖代々の“諸国旅人御宿”を営んできた萬国屋という旅館の話です。
 会長いわく、「人件費倒産なら本望だ!」
「私がいつも言っているのは『社員の幸福なくして企業の繁栄はない』ということです。働く人が一番大切です。私は社員を倖せにしたくて経営してるようなものです。これは若いときの(社会主義思想、社会正義の)考えを経営者になっても役立たせたいと思ったからです」。

 御手洗会長ぜひ、一読して爪の垢でも煎じて飲んでみて下さい。

【転載開始】
「男たちの履歴書 いかにして道をひらくか」早坂茂三著 集英社文庫
 第三章 親方、覚悟すべし──どんな男に人はついていくか
 山形県の西の端、日本海に面した西田川郡の温海温泉に萬国屋(ばんこくや)という旅館がある。客室数百五十、収容人員九百人、東北地方で指折りの名門旅館だ。主人の本間儀左衛門は大正十三年生まれの七十歳。今、株式会社・萬国崖の会長を務めるかたわら、その経営ノウハウを教えてくれと頼まれて、講演に出かけるという日々を送っている。 彼は学生時代、早稲田で戦後のシュツルム・ウント・ドランクに巻き込まれる。当時の多くの青年と同じように「万人は一人のために、一人は万人のために」という社会主義思想に傾斜していく。新しい日本に社会正義を実現したい。マルクス、エンゲルス、レーニンの本を貪り読んだ。実践の道を模索した。ところが、卒業の年になって母親が言う。
「山形に帰って家業を継いでくれ。この宿屋を盛り立てておくれ。私の一生のお願いだ」
 父親は彼が三つの時に他界し、その後は母親が創業三百年余り、先祖代々の“諸国旅人御宿”を切り回してきた。彼は輾転反側(てんてんはんそく)して悩みながらも、結局、苦労のしどおしだった 母親の願いを受け入れる。
 それから四十余年、彼は地方の温泉宿を『旅行新聞』が毎年発表する「プロが選んだ日本の優良ホテル・旅館」で上位にランクされるまでに仕立て上げた。昭和六十一年には、日本能率協会が三社を選んだ第一回サービス優秀賞を受賞した。他の二社は帝国ホテルとホテル・ニューオータニである。
 今、萬国屋には東北だけでなく全国各地の温泉旅館やホテルの経営者、あるいは番頭、支配人たちが客としてやってくる。なぜ、それほど繁昌するのか、どうしてそんなに評判がよいのか。口コミで広がる萬固屋のサービスを自ら体験するために入替わりで訪ねている。
 昭和六十三年の七月、私は全国旅館環境衛生同業組合連合会の大会に呼ばれて講演した。
その青年部長が本間幸男、儀左衛門の長男である。後になって、本間二世が同業の仲間と一緒に東京・赤坂の早坂事務所へやってきた。一時間くらい世間話をして帰り、父親に報告した。
 それを聞いて読書家の儀左衛門が私の本を次々と読んだ。そして、私が早稲田の後輩であるとわかった。よくよく透かして見たら、同じように赤旗を振って、失敗を繰り返している。挙げ句の果てに、とんでもない極道の世界に入って面白い体験をしている。

 彼は平成六年三月、自分のお客さんが六百人も集まる会に私を講師として呼んだ。出かけて行った私は、噂に聞く萬国屋の経営、サービスを自分の目で確認することになった。
 私は挨拶や礼儀作法、人との応対の仕方には厳しい。新聞記者から政治家の秘書に転じた私が、角栄親方から黄初に教えられたのは丁寧なお辞儀の仕方であった。以来、角栄流の仕込みが万端、体に渉み込んでいる。レストランやホテル、旅館などで口の利き方も知らないウエイトレス、ボーイに会うと反射的に血圧が上がる。あとで年甲斐もないと反省するのだが、つい顔色や口に出る。
 最近、どこへ行っても同じ場面に出会うので女房、息子は私と一緒に外出するのを嫌うようになった。小言幸兵衛のような真似はやめてくれというわけだ。しかし、体に潜み込んだ感性はしょうがない。いかに家族から敬遠されようと、私のような男がいなくなれば、日本から敬語も礼儀作法も消えてなくなる。
 その小言幸兵衛のような私から見ても、萬国屋の従業員たちは非の打ちどころが一点もなかった。言葉遣い、お辞儀の仕方から服装に至るまで、すべてがキチンとしている。まだ高校を出て間もない二十歳前後の女子従業員が着崩れもなく和服を身に着けて、見事な言葉遣い、立居振舞いをするのに驚いた。
 私は、初め講師だから特別扱いして、選り抜きの女性が応接係になったに違いない。そう勘ぐった。ところか、私以外の客に接している従業員も大同小異、ほとんど変わらない男性スタッフを見ても、手空きでポケットに手を突っ込んだり、ネクタイが緩んだ者もいない。みんな背筋をピンと伸ばし、若者らしくキビキピ動いていた。

「人件費倒産なら本望だ」
 講演を終えて、私は主人の本間儀左衛門に話を聞いた。
「私がいつも言っているのは『社員の幸福なくして企業の繁栄はない』ということです。働く人が一番大切です。私は社員を倖せにしたくて経営してるようなものです。これは若いときの考えを経営者になっても役立たせたいと思ったからです」
 そう言って彼が語ってくれた経営哲学は、さわやかなものだった。
 本間は三十年ほど前に退職金制度を作った。山形県でもトップクラスの退職金を出す。
地方のトップ企業はほとんどがその地方の銀行だ。だから山形の地銀と同じレベルの退職金を出すことにした。毎年、退職金引当金を計上して積み立てるのだ。
 すると、取引銀行の幹部が心配して忠告した。
「本間さん、こんなに退職金を出してもいいのでしょうか。そうでなくとも、おたくは人件費率が高うございます。退職金制度は、いったん決めると、解約することがひじょうにむずかしいですよ」
 まだ三十代で血の気が多い本間が答えた。
「まあ、企業なんてものは屏風と同じですよ。あまり広げてしまえば倒産するし、すぼめ てしまえば、やっぱり倒産する。経営は倒産しやすいようにできているんです。どうせ倒産するんだったら、私は人権費倒産がいい。人件費が高くて倒産したら、私は本望です」
 そして、その退職金の原資に売店の利益を充てることにした。
 萬国屋では宿の中で朝市をやっている。それから土産物屋のコーナーも広く取っている。
 そこから上がる利益のすべてが従業員の退職金引当金として計上される。
 その貯金がもう三億円を越えているという。毎年、若干の変動はあっても、働いている人の人数は誰もがわかっている。誰が六十で定年になるか。みんなわかっている。そうすると、自分の勤続年数、年齢などを算式に入れれば、いくらの退職金が用意されているかがわかる。体さえ壊さないで、一所懸命に働いて売上げを増やせば、自分の退職金の積立金も増える。先行き心配がない。愉しみになる。

人間は愉しみ事がなければ一所懸命に働かない。我慢して、嫌々やって、夕方五時になったら字を書きかけていても中断、百メートル十秒の速さで勤務先から帰りたい……というのでは仕事に身が入らない。
 この退職金引当金の定期預金は、どんなことがあっても担保に入れない。設備を拡張するために銀行から資金を借り入れる際も、彼はこの金には絶対にリスクを負わせない。そして、全従業員に毎月の決算を発表する。貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を全社員に公開する。使徒不明金は一切ない。朝市と売店の売上げ、利益も示す。伝票の作成や金の出入れをしている従業員には、もともと全部わかっている。それと照らし合わせても一円も狂っていない。そして、
「今期はこれだけ皆さんの退職金引当金に繰り入れます」とやるわけだ。
 翌朝、私は朝市を覗いて見てびっくりした。お客で溢れている。スーベニール,ショップのような安ものではなくて、本当にローカルで、センスのいい商品が並んでいる。魚もはねているようにイキのいいやつとか、一夜干しが見事にダーツと並んでいる。
「かあさん、ほかと比べて高いか安いか」
 買い物寵を持った地元のオカミさんに聞いたら、私のほうを振り返って、
「安いよ。おめえ」
「ほう、そうかい。そりゃ、よかったなあ」
 オカミさんはイカの一夜干しを十枚買っていった。
私が話を聞いたとき、本間の給料は六十万円だった。事実上の創業者オーナーである。
 
 専務の給料は五十万だという。
「会長と十万しか違わないの」
「はい。申し訳ないんですが、会長にもっと取ってくださいと言っても、会長は『息子とは別会計で、あれは別に給料を貰っているし、私は婆さんと二人暮らしだ。年寄りはそう食わないし、あまり着るものもいらない。部屋はちゃんとこの中にある。金がかからないんだ』と言って、取らないんですよね」
 専務が私に説明した。今はもう少し上がったらしいが、それを従業員はみんな知っている。
 これは無言だが最大の説得力だ。人間は能書きだけを垂れて、偉そうに百万の説教を言っても誰も心服しない。しかし、会長がこれだけしか取っていないのに、従業員は世間の相場に比べて、ずっといい給料を貰っているとなれば、誰だって頑張る気になる。
 月給というものは、渡す人から見れば、いつも永遠に高い。だが、貰うほうからすれば、月給は永遠に安い。二律背反だ。立場によって、金というものの重さは変わる。ならば、まあ、このへんかなと納得できて、よそと比べても遜色がない、もっと安いところもたくさんあるということになれば、人は働く。P-90
「男たちの履歴書 いかにして道をひらくか」早坂茂三 集英社文庫より
【転載終了】  

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コメント
 
01. 2010年1月01日 08:04:01
本当に御手洗会長に爪の垢を煎じて飲ませたい。「会社は従業員のためにある」はまさに真理である。会社は株主のもの、会社は経営者のものとの考え方により、配当性向を大幅にあげたり、経営者の報酬を大幅に上げ出してから世の中がおかしくなった。日本には日本式経営がある。巷の大企業の経営者よ、恥を知れ。

02. 2010年1月01日 08:26:39
これが日本の経営の真髄だと思った。 専務さんの給料と十万しか違わない六十万が社長の月給だという。 ウオール街の強欲な詐欺師とは全く違う。 温海温泉の万国屋は三十年前には何度も泊まった。 裏日本には同じ様な客扱いの良い温泉が幾つもあった。 あの頃までの日本の企業には、強欲ではない経営者がたくさんいたから経済も発展したのだと思う。 欲張りで自分の退職金ばかり考えている人たちには耳の痛い話だろうと言いたいけれど、彼らはまったく聞く耳など持たぬだろう。 N.T

03. 2010年1月01日 08:42:19
 元ネタが早坂茂三というのが一寸気になるが、「因果応報」「情けは人の為ならず」ということだろう。
 ヘンリーフォードが大衆車を手掛けたときに、従業員の給与を相場より高めに設定し、「彼らも客だ」と言ったという話もあるそうだ。
 金が回るようになれば、消費も増える。

 今の世の中はその真逆を行っている。「人件費を上げれば利益が減る」「人件費を上げても自社製品を消費するとは限らない」「価格競争に負ければ社員も他社製品に走るに違いない」等々、マイナス思考が世の中を席巻しており、経営者は囚人のジレンマの真っただ中にいる。

 まぁ、成長の最終段階にある先進国によくあるパターンだろう。増えないパイの奪い合いの中で以下に自分の利益を最大にするかしか考えなくなる。その結果、中間層の没落が加速し、消費はそれにつれて減少し、パイは縮小再生産の道をたどることになる。弱肉強食を絵に描いた英米の没落、日本式社会主義から米国式新自由主義転換の日本の低迷も単純化すればこの図式にあてはまりそうだと素人のおいらは感じている。

 グローバル企業はまだBRIC'sがある、アフリカがあるなどと考えているだろうが、ネズミ講と同じで何れ終焉の時が来る。

 累進性をきつくすると富裕層が逃げる、法人税を上げると企業が逃げるという議論があるが、逃げる奴は逃げればいい。しかし、国籍や人種という縛りがある中で、本当のコスモポリタンとして生きていける人や企業はどのぐらいあるのだろうか。日本人主体の経営陣が純粋に能力主義に変換し、人種を超えた経営の陣容をそろえることができるのだろうか?他の資本に膝を屈することにならないのだろうか?

 地球が単一国家になった後ならいざ知らず、様々な国家が犇めく中で、企業が安定した基盤を気づけるのは国内需要あってのことだと考えるのだが、おいらの考え方は間違っているのだろうか?


04. 2010年1月01日 10:44:53
もう何が何でも米国式の経営の物真似は止めよう。

日本の良い所が、どんどん崩壊していくのが

怖すぎる。


05. 2010年1月01日 11:22:07
03の見解、シンプルにして明解、そのとうりです。
いい話だ、もう忘れてしまつた良き日本の姿がある。あのころは儲けというものが思いやり、気ずかい、心ずかいの中にあつたように思う。

それにしても、何故?御手洗氏が経団連の会長でいるのか私は判らない、
1)御自身ダーティな噂を抱えクロに近いグレィである。
2)御自身の会社は派遣、臨時社員での問題に槍玉にあがる、
3)自民党献金し、この格差社会創りに積極的に貢献、これは経団連全体の意向か、
 
トヨタの奥田氏の悪党振りも目にアマつたが、この経団連会長のせこさは小悪党、言って悪いがこそ泥レベルであろう、
1)麻生元総理に呼び出され、時期が時期であるから<雇用に協力を・・>と要請され協力を約束してるその時に自身の会社で首切り、
2)会社の一大事、泣いてバショクを斬るの例えもあるが、氏自身の給料はここ数年で一億数千万が二億数千万に、何を考えてるのだろう?

格差社会が生まれる理由は明確に存在する。

                            ロシアンブルーの男


06. 2010年1月01日 13:38:48
山形にあるそうだが、本間氏は恐らく新潟から来た人だろう。
そういう点で、角栄に近いのもうなずける。

07. 2010年1月01日 19:04:15
派遣切りをしてご自身の給料2億はどう見てももらいすぎ。
そのくせ消費税を上げたがっていて、本当に人としての品性を疑います。
世論の後押しによる一日も早い累進化税制の導入を望みます。

08. カイサトウ 2010年1月02日 00:59:50: kkEz7DwES7aW2
よく「法人税を上げたら企業が逃げるぞ!」と恫喝する人がいますが、嘘だと思います。何故ならそんなことをしたら
1 「日本人」という世界有数の労働者を失う。
2 「日本人」という世界一の消費者も同時に失う。
「外国で作って日本で売るんだ!」と反論されるでしょうが断言します。
それ、無理ですよ。
日本にいて消費者の嗜好や動向を常に肌身に感じていなければ、日本人の嗜好に合う物は作れません。「肌身に感じる」ことが大事なんです。
効率性ばかり重視してこの「肌身に感じる」微細な感覚をまったく無視する財界人の発想は、データだけ見て「同じ農業だから別にいいだろ」と強引に農民たちを別の土地に移住させ、挙句の果てに数百万の人々を餓死に追い込んだスターリンのやり方に似たものを感じます。
政権末期の自民党員がまさしくそうでしたが、現在の財界人の多くの言動がいつの間にか「ソビエト化」もしくは「スターリン化」しているのが気になります。
そしてスターリンがそうだったように、財界人もまた己の失策で多くの労働者が「餓死」することがあっても、知らん顔して責任は取らないでしょう。