2008-12-28(Sun)

敗北の20年から


梅田というのは、大阪駅周辺のことで、私鉄や地下鉄の駅名は「大阪」ではなく「梅田」である。
週に何回かは私も通りかかる。その、梅田の北側で長らく工事が続いている。
道路まで付け替えて、旧国鉄の操車場に何千億もの金を投じて再開発している。

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この光景を見ていて、頭の中にフラッシュバックが。
20余年前の国鉄分割民営化。中曽根康弘によって強行された、国家的不当労働行為、国家的偽装倒産。

今年の悲惨な年末も、20年前にやられた国鉄分割民営化に端を発している。
もっと言えば、国鉄の赤字がどうとか、果ては国鉄職員のマナーがどうとかいうペテンに、日本中がコロッと騙された結果が、今日の大不況とクビキリラッシュなのだ。

中曽根自身が認めているように、分割民営化の一番の目的は、労働組合の解体だった。
70年代、80年代を通してじりじりと後退してきた、労働者のちからが、一気にそぎ落とされた。
そして、それを敗北ではなく、何かの「変革」かのように思い込まされた。

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この国鉄分割民営化という世紀の大ペテンの直後に、今度は経済的なウルトラペテンが仕組まれた。
言うまでもなく、バブル経済だ。

労働者の権利なんてイチイチ主張しなくても、勝手にお金が転がり込んでくるような幻想に、これまたコロッといかれてしまった。
今から思えば、そのアホさ加減は誰でも分かるけれども、その本当の狙いが「権利意識をぶちこわすこと」だっととは、今でもほとんどの人が気がついていない。

欲の皮は実に立派になったけれども、「権利意識」はボロボロだ。
だから、正当な権利と引き替えに、ちょっとおいしそうな話をぶら下げられるとコロコロッと騙されるようになる。
バブル崩壊後は、こうして転落に次ぐ転落。
徹底的に牙を抜かれ、ほとんど無権利の非正規雇用者ばかりになったところで、最後の仕上げがアメリカへの日本売却だ。

国鉄分割民営化からバブル、その崩壊という過程は、国民としても労働者としても権利を主張することのできない日本という「商品」を作り上げる工程だった。
そして、小泉劇場と言われたアメリカへの徹底した隷従政策は、その「商品」を激安でアメリカへ売却したことを意味する。
ロンヤスの中曽根が着手し、ポチ小泉が仕上げた というわけ。

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売却された日本からは、豊田商事や和牛商法も真っ青の、巨大詐欺に金が吸い上げられていった。
農協(農林中金)をはじめ、国民の財産を預かっている金融機関は、かつてのバブルの反省なんてどこへやら、アメリカ発金融バブルにジャブジャブと金を投じた。

和牛商法だって、いない牛を「いる」と信じている限りは、見かけの利益を生み出す。
しかし、本当にいないと言うことが明らかになった時点で、すべての投資は紙くずになる。
金融工学なんて言うものは、普通に考えたらこれと同じだ。

ないはずの利益や財産を、「ある」と信じさせて投資をさせた。投資が増えていく限りは、利益が出た。
しかしもちろん、ないものはない。それが最初に露呈したのが、サブプライムローンだった。
1年以上前に露呈したにもかかわらず、売り渡された奴隷であるだけに、まだまだ金を払い続けた。
そして、いよいよ手じまいが始まったのが、リーマンショックだ。

この10年間で、天文学的な財産をため込んだ連中は、しっかりとその財産を隠してから、次々と倒産、破綻しはじめた。
もっと破廉恥なやつらは、税金で救済しろと脅迫をしている。

それでも、日本以外の労働者は、だまって唯々諾々とされるがままにしているわけではない。
何をされても、ひたすら我慢して自殺者だけが増えていく日本。
世界でも、唯一の国。

ストライキ続出のアメリカとストライキが姿を消した日本

こんな記事を見ると、いかに日本が飼い慣らされた奴隷かということが分かる。

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かくして、この悲惨な年末はやってきた。
失業者はうなぎのぼり、中小企業は毎月1200社以上が倒産し、そんな国民をほったらかしにして、麻生はのんびり、まったりと冬休みだ。

首相、ホテルで会食、本7冊購入 「冬休み」初日
2008/12/27 共同通信

まあ、のんびりするだけならまだ良い。
ちょっとでも反抗して、生きる権利を主張するものには、こんな仕打ちが。

「8歳名指し 前代未聞」東村ヘリパッド

この件は、昨日のきっこの日記ですでにご存じの方も多いかもしれない。
8歳ですよ。小学校2年生くらい。。。。 こんな国で、普通にしていて普通に生きていけると思いますか?

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このトンデモない地点から、なんとかして向きを変えるためには、まずはこの20年が敗北の歴史だったことを、しっかり頭にたたき込まなくては。
目先のアホらしいニンジンにつられて、大事な権利をぜんぶ投げ捨ててきた、私たち自身の敗北の歴史。

もちろん、それに易々としたがってきた「革新」勢力の情けなさは目に余るけれども、今更それを言っても何も生み出さない。
まずは、自分のこととして、負けてきたこと、騙されてきたことを自覚したい。

そして、それをひっくり返すためには、理想論を蕩々とならべるのではなく、できることをやる、という積み重ね、実績作りが大事。
その意味で、民主党中心で政権交代することは、やはり大きい。

民主党がなんぼのもんや、という意見も多いけれども、そんなことは問題じゃない。
いい加減にしろ という気持ちが、政権交代 という結果につながるという実績を積み上げること大切なんだ。

一歩でも,半歩でも、足を動かしていこう。
今は、とりあえずそう思う。