ついに本邦開闢以来始めての人民の人民による人民のための革命はなった!308議席を獲得した民主党から部屋の明け渡しを迫られて青テントに移ることを余儀なくされた自民党議員諸氏を我々貧民一同は心より歓迎し,連帯の抱擁を持ってご挨拶申し上げる※.(馬場英治)
※2009-10-10
パラグラフ8個,43行の記述(グレー表示)を補足・追加.
※自民党は9/3現在議員控え室の明け渡しを拒んで居座っているようだ.バブル崩壊ではその発端となった地上げに始まり,不良債権処理で終わる全過程で暴力団が広く関与し巨大な資金がその方面に流入しているが,この期におよんで見苦しくも居座り続けている様は,明け渡しを拒んで複数の組員を寝泊りさせいやがらせを続けた暴力団の手口とまったく同じだ.これは
自民党自身が日本の不良債権となってしまったことを如実に示すものである.(9/3)
地殻変動である.このような力が発動されたときには,もはやなにものもそれを止めることはできない.自民党は13の県の小選挙区で全滅し,民主党は岩手,福島,山梨,新潟,長野,愛知,滋賀,長崎の8県の各小選挙区全区を制覇した.自民党議員ゼロとなった残りの5県は秋田,埼玉,静岡,大分,沖縄である.公明党も候補者を立てた8つの小選挙区で壊滅した.
埼玉11区(筆者の選挙区)では無所属平沼グループの小泉龍司氏が11万票の大差を付けて自民党小泉派の前職を退けて雪辱を果たした.小泉龍司氏は国賊竹中平蔵とコロンビア大学ビジネススクールの客員研究員として机を並べたこともあるが,まさに正反対の道を歩むことになる,いわば宿命のライバルである.元大蔵官僚で経済に明るい小泉龍司氏の国会での活躍に期待するところ大である.地元での強い信認を得ているので心置きなく活動されんことを望む.(ちなみに筆者は比例は共産党,最高裁判事の国民審査では複数の判事に×をマークした.)
平沼グループのリーダー平沼赳夫氏は自民党郵政造反組の筆頭であり,造反議員の大半が膝を屈して復党したときにも党外に踏み止まり節を守った国士であるが,大逆事件で幸徳秋水らに死刑を求刑し治安維持法の法案成立を推進した検察官僚で「国策捜査」元祖の平沼騏一郎(後の総理大臣・A級戦犯)は平沼氏の義父であり,その系譜を継いだ平沼グループは,もし民主党が安定多数を得ることができなかった場合には,国政を危険な方向に急速に右旋回させる「軸」となり得る可能性を有していた.そのような展開にならなかったことに安堵を覚える.
この選挙で我々の陣営から見て最大の損失は社民党の保坂展人議員が議席を失ったことである.保坂議員の活動は余人を持ってしては代え難いものがある.保坂議員を落とした杉並区住民の見識のなさにはがっかりだ.次の参院選では必ず国会に戻って頂きたい.鉄板の山口3区で安倍晋三に挑み惜敗した戸倉たかこ氏の健闘に拍手を送りたい.民主党としては過去最高の6万票を集め,元総理にドブ板回りをさせたのだから立派なものだ.
日本再建の道が開いた.小泉・竹中の似非改革に鉄槌は下された.83名を数えた小泉チルドレンはアダ花となって散り,代わって143名という大量の民主党新人が躍り出て小沢チルドレンと呼ばれることになった.小沢一郎氏がこの選挙の一番の立役者であり,駆動力であったことに間違いはない.彼は2009民主革命の坂本龍馬として長く歴史に名を残すことになるだろう.我々の悲願であった郵政民営化見直しがついに実現する.
ようやく,我々は外国の干渉に対して「NOと言える祖国」を持つことができるようになった.確かに日本の国力は落ちてはいるが,そのことによって逆に国民の連帯意識は高まったと言ってよいだろう.連帯意識というより「相互扶助の精神」と呼んだ方がよいかもしれない.それはもちろん排外主義的なナショナリズムとは無縁のものであり,共助共生のネットワークが甦生しつつあることの兆しである.赤い郵便ポストはそのような平和国家日本復活の象徴である.
社・国・民連立政権の弱点として外交・防衛問題で足並みがそろわないのではないかと危惧する向きもあるが,それほど案ずることはないのではないか?少なくとも当面の課題である「インド洋上給油」と「核持込日米密約」問題に関しては特に対外的な摩擦要因となることはないだろう.「インド洋上給油」に関してはすでに2007年の11月に法案期限切れとなって一時海自艦船を撤退させたという実績があり,米国はそれを容認していたと考えられる.実際,それが2007年参議院選挙に示された国民の総意であるのだから,民主主義国家を標榜する米国としては口を差し挟むことのできない事柄である.「日米密約」に関する米側資料はすでに公開され周知の事実となっているのだから,これも対外的な摩擦要因とはなり得ない.
民主連立政権は安定政権となるだろう.少なくとも今後4年間は衆議院が解散されるような事態は起こらないだろう.今は政争のときではない.日本再建のために知恵を絞らなくてはならないのだ.国のGDPを500兆円としてそのうちの40~50%,200-250兆円を国家財政が占めているというのはいかにも異常である.まるで封建時代の4公6民,5公5民ではないか?
どう贔屓目に見ても政府の経済活動が国民経済の5割の働きをしているようには見えない以上,その大半は無駄に費やされている,つまり食い物にされてきたと考えるしかない.恐るべき浪費である(それをやってきたのが他ならぬ自民党長期政権だ).しかも,その大盤振る舞いの「ツケ」が刻々と積み上がってゆく.財務省は2010年の概算要求で国債費(利払い!)22兆円,国債発行額137兆円!(新規国債39兆円,借換債98兆円)を計上した.税収見込み額は47兆円に留まる.真性のしゃぶ漬けである(相当な荒療治が必要なことは明らかだ).
このツケ(国家財政破綻)を消費税「増税」でまかなうなどということは金輪際有り得ない.特別会計200兆円の支出の内容(独立行政法人などを含む)が厳格に精査されなくてはならない.これを行うには膨大な人的時間的コストを要する.民主党議員308名のうちの半数を占める新人議員を即戦力として直ちに戦線に投入することができなかったら,この事業をしかるべき期間内に終わらせることはおそらく不可能だ.明治維新を担ったのはすべて10代20代の若き志士たちであった.やってできないことはない!新人議員諸君の奮闘を期待する.
高級官僚天下りの要因の一つとしてキャリア官僚の早期勧奨退職慣行というものがある.一般に官僚システムはピラミッド構造をしているため,上にゆけばゆくほどポストの数は少なくなる.同期入省組の中から誰かが事務次官の席につくと同期のものはすべて退職するというのがこれまでの慣行となっていた.しかし,彼らのキャリアを最大限に活かす道がある.議会との調整・連絡・監督という特別職を作って彼らに与えればよい.多分期待通り存分の仕事をしてくれることだろう.政策秘書の不足という問題も起きているようだが,わたしは自民党落選議員の秘書をリクルートするのは決して悪い選択ではないと思う.少なくとも統一教会系や外国謀略機関系の秘書を押し込まれるよりははるかに安全だし,即戦力になる.
民主党は「総予算」の組み直しという言い方をしているので,すでに「特別会計」の予算を議会で徹底審議するという立場に立っているものと考えているのだが,間違いないだろうか?「
単一予算主義の原則に立ち特別会計をガラス張りにして一般会計と合算し国会における予算審議の対象とすること」が国家戦略局の戦略目標となるべきであり,また同時にその出発点ともなるべきだ.会計が完全にガラス張りになれば,その内容を精査することはそれほど難しいことではない.国家戦略局議長には誰が当たるのか?藤井最高顧問が財務大臣を勤めるのであれば,菅直人副代表以外にはいないのではないか?菅官房長官というのはごろが悪い・・・
国家戦略局は首相直属の機関で,官民の人材を結集し予算の骨格や国家ビジョンを固めることを目的に官邸内に設置される.実務を担うスタッフとしては党の政策スタッフに政治任用の民間人を交え30人程度を予定している.この国に国家ビジョンを語れる人が何人いるだろうか?そのような稀有な人材の中から,わたしは先に挙げた小泉龍司議員,保坂展人元議員とともに,小泉・竹中のりそなインサイダー疑惑の暴露本を執筆中謀略をもって痴漢にでっちあげられ実刑判決を受けて現在収監中の植草一秀元早稲田大学院教授と,同じく小泉政権のときイラク派兵政策への異議を打電して解任された元駐レバノン大使天木直人氏を推薦したい.※
※筆者はこの推薦リストにもう一人の有能な元財務官僚を付け加えることにためらうところがない.2009年3月8日に日帰り温泉施設のロッカーから25万円相当の高級腕時計と現金5万円の入った財布を盗んだという容疑で「現行犯逮捕」された高橋洋一氏である(正確には逮捕ではなく任意同行であった模様.即日釈放され,処分は起訴猶予.高橋氏は後日友人に「時計もお金も見ていない」と証言).小泉・竹中政権のブレーンとして郵政民営化の4分社化スキームを設計したのは氏に他ならないが,安倍政権では公務員制度改革の旗頭として天下りの全面禁止を打ち出し,麻生政権では特別会計を精査して75兆円の埋蔵金を掘り出した.
氏は自著で自らを「官僚すべてを敵にした男」と呼んでいる.特別会計は財務省のいわば「秘所」に当る禁断のシークレットゾーンであり,そこに踏み込んだ高橋氏は某財務官僚が「三度殺しても足りない」となじるほどの憎悪の的となり,与謝野財務大臣の指図でみじめな閑職に左遷された(与謝野氏は財務省側に立ってあくまでも「埋蔵金は存在しない」と主張していた).高橋洋一氏窃盗事件が謀略であることはほとんど疑うべくもないが,もっとも重要なポイントは当時氏が国際金融資本が禁忌とする「政府貨幣発行論」を唱え始めた点にあると考えられる.
高橋洋一氏は民主党の故石井紘基衆議院議員が生命を賭して挑んだ「見えないベルリンの壁」なるものを易々と打ち破った人物である(易々とというのはもちろんレトリカルな表現であり,それがどれほど困難な偉業であったかは現在氏の置かれている境遇からも推察される).それはある意味でこの「静かなる革命」の捨て身の前哨戦であり,あるいは側面からの援護射撃であったとも言えるだろう.石井紘基議員刺殺事件は2002年10月25日に発生した.折りしも第155回国会の会期中であり,小泉改造内閣では竹中平蔵が財務・金融大臣を兼務していた.
翌26日指定暴力団山口組系一人右翼団体守皇塾代表伊藤白水が石井議員殺害犯として警視庁本部に自首した.最高裁は2005年11月15日に上告を棄却して犯人の無期懲役が確定するが,一二審の判決は殺害の動機を「解明不可能」とする世にも奇妙な代物だった.
2009年2月11日テレビ朝日から衝撃的な映像が流れた.朝日TV記者との長い文通の果てに犯人が「本当は頼まれて石井紘基氏を刺殺した」と告白したという内容である.依頼人の名前については未だに口をつぐんだままだ.凶行当日の朝石井紘基氏のカバンに入っていた数日後には国会で暴露されていたはずの資料は抜き取られて何者かの手に渡った.伊藤白水から記者にあてた手紙には「この事件は政界の裏側で動く金と人脈が関係・・・」と記されている.依頼人は誰か,その依頼人に指図した真の殺害者が誰であるかが明らかになる日が来る.
伊藤白水の告白に前後してもう一つの「謀略事件」が起きている.2月18日中川昭一財務大臣がイタリアのローマで開催されたG7での「もうろう記者会見」の責を負って辞任した.財務大臣は米国債の買い増しを拒否するとともに,G7の会合では日本の外国為替資金特別会計から(保有する米国債を活用して)IMFに10兆円の支援資金を緊急融資することを提案していた.この事件には財務省国際局とCIAのエージェントとして知られるメディアが関係している.
辞任した中川氏は7ヶ月後の2009年10月3日午前8時過ぎ自宅ベッドに上半身うつぶせの姿で冷たくなっていた.一方,「もうろう記者会見」の原因となるG7各国代表との外交儀礼的にも重要な会食を「中座」してのイタリアレストランでのワイン付きコンパニオン(=某メディアの女性記者)付き「内輪の慰労会」をアレンジした当時の国際局長は財務官に昇進し,会見の席で日銀総裁とともに大臣の失態にも素知らぬ振りを通した財務官はIMFの副専務理事に納まった.民主党は政権を取る前に,当の国際局長が国会で虚偽の答弁を行ったことを理由に同局長(現財務官)が参院財政金融委員会と党財務金融部門会議に出席することを拒絶している.
同年6月3日イタリアのスイス国境付近で13兆円分の米国債をカバンに入れた2人の日本人(財務官僚,うち一人は元日本銀行副総裁武藤敏郎氏の義弟である山内恒夫氏であるとの情報あり)がイタリア警察によって逮捕されるという事件が起きた.この米国債の出所は明らかではないが,(少なくともその一部が)真性の米財務省債券であったことは確実である(そのことを伝えた米国オンライン・ジャーナルの執筆者が逮捕されたことが却って情報の信憑性を高めている).米国債を売却することの当否は別として,もし仮にこの債券が換金され自公政権の手中に落ちていたなら,今回の選挙と選挙後の様相も大きく変わっていたに違いない.(10/10)
民主連立政権の最初の課題は「高速道路の無料化」という公約の実現だ.道路は「公道」といういうくらいでもとより公共のものであり,営利企業が私的に所有してそこから利益を吸い上げることが許されるような性格のものではない!高速道路無料化までの手順は至って簡単である.まず,ゲートの監視人すべてに退職金を支払って退職してもらう.ピリオドだ.後は交通ルールに則って各自自由通行してもらうだけのことだ.こんなことは明日にも実現することができる.つまり,余分なお金を払って人を雇いゲートに立たせることを止めるだけのことである.
なぜそれができないのか?道路の保守は他の国道とまったく同様に国土交通省の所管に戻し,道路局がメンテナンスすればよい.負債が残っている?よかろう.高速道路網の建設と運営に関して債権を有するものはその旨をいついっかまでに申し出るがよい.ただし,そのことをするために満たすべき要件がある.これら道路の本来の所有者である我々国民はその自称債権者に検察庁に立ち寄り身の潔白を証明する証書を作成してくることを求める.少なくともその債権者たる企業が日本国籍を有するものであるなら,これまでに支払った金子を元本の返済に充当した上で金利上限法で定める上限金利まで支払えば十分だろう.「泥棒に追い銭」をくれてやるような「ゆとり」は今の日本にはないし,日本国民もそこまでお人好しではない.
上級公務員の天下り禁止と並んで国会議員定数の削減ということがさかんに言われているがわたしはこの意見に必ずしも同調しない.確かに本会議では何百人という議員は必要ないかもしれないが,法案の実質審議を行うのは専門委員会であり,法案審議の内容はこれからさらにますます専門化してゆくと考えられるので,本当のところを言えば何人いても足りないのではないかという気すらする.また,国会議員というのはある程度徒弟制度的な側面があり,新人議員が一人前の議員に育つまでの育成期間というのも見込まなくてはならない.この意味でわたしは今の議員定数はそれほど過剰であるという認識を持っていない.保坂議員のように「仕事をする議員」に対しては今の10倍の報酬を出してもよいと思っているくらいだ.
民主党に釘を刺しておきたい点が一つある.比例代表選出議員定数削減という話だ.これは完全に間違っていると思う.「完全な理想的代表選出方式」というのは存在しないから,「選挙制度」はつねに政権党に有利なものに改変される傾向があるが,「比例代表選出議員定数削減」は「小選挙区制度」の弊害を拡大するだけで何の利点もない愚かで反国民的な施策である.
民主党の立てたマニフェストがパーフェクトであるとも最善であるとも考えないが,「財源,財源」と騒ぐ声がかまびすしいので,民主連立政府を擁護する立場から消費税を「廃止」してもなお十分な歳入を確保することのできるひとつの徴税方式を提案しておこう.税制改革を議論するまでにはまだしばらくの時間があると思われるので,何かの参考になれば幸いである.
問い:消費税率を上げる以外の方法で10兆円の追加財源を得ることは可能か?
答え:消費税に代わる徴税手段としてより公正な一般取引税を導入すればよい.
一般取引税(ジェネラル・トランザクション・タックス)は商取引の決済の時点で決済にかかる金額に一定の税率をかけて徴収する課税方式であり,もっとも公正かつ効率的な究極の徴税方式である.現在の日本の経済環境を前提に試算すると,1%の税率で20兆円の税収を得ることができる.消費税による方法では税率1%に対し約2兆円の税収実績があるが,一般取引税は同一税率で消費税の10倍の税収を得ることのできる極めて優れた理想的課税方式である.
一般取引税の課税ベースは全銀ネット(内国為替決済システム.日本国内の信用金庫,信用協同組合,農業協同組合等を含めたすべての民間金融機関を結ぶ電子的決済システム.ゆうちょ銀行は2009年1月に参加)上の日々のトランザクション(取引/決済)である.この中にはATMを操作して他行口座に送金する振替えなどの業務も含まれる.現在全銀ネット上では1営業日当りおよそ10兆円のトランザクションが処理されている.仮に1年=200営業日としても,全銀ネット上のトランザクション総額は年間で2000兆円に上り,この1%を取引税として徴収することによって,20兆円の税収を得ることができる.
現行の消費税率5%による税収が10兆円であるとすると,税率1%の一般取引税を導入することによって10兆円の追加財源を確保できるばかりではなく,現行の消費税そのものを完全に廃止することが可能である.一般取引税に関してはもう少し説明を要すると思われるので,次エントリで多少の解説を試みることにしよう.
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