在外申請二審も認める
被爆者手当で韓国人勝訴 福岡高裁判決
 韓国に住む被爆者が、被爆者援護法に規定された手当などの支給を国外から申請できるかどうかが争われた長崎在外被爆者訴訟の控訴審判決で、福岡高裁(石井宏治裁判長)は26日、長崎市の控訴を棄却、一審長崎地裁に続き、在外申請を求める韓国人被爆者側の主張を全面的に認めた。

 同種訴訟で広島地裁が今年5月、米国在住の被爆者勝訴の判決を出し、広島市が控訴した。高裁判決は初めて。判決理由で石井裁判長は「被爆者を広く救済するのが、被爆者援護法の立法目的」とした一審判決を引用。「同法は在外者の援護も想定しており、国外からの申請を一律不可能にするのは無効」と述べた。

 現行制度は在外被爆者にも手当などの支給が可能だが、本人が来日して手続きすることが必要。判決後、長崎市の伊藤一長市長は「市としては上告しない方針で、国と相談したい」と述べた。

 細田博之官房長官は同日の記者会見で「判決を受け止め、外務、厚生労働両省で知恵を絞ってもらいたい」と強調。韓国を中心に約3600人いる在外被爆者の援護制度を見直す考えを表明した。

 原告は韓国・釜山の故崔季★さん=昨年7月に78歳で死去=と、妻の白楽任さん(77)。

※ ★はサンズイに撤のツクリ