天下り問題については、このブログでもずっと批判してきているが、その実態についてはあまり知られていない。植草一秀氏が
ブログで天下りについてとても洞察力の鋭いエントリーを2、3日前にアップされたので紹介したい。又、タイミングのいいことに、
My News
Japanが「警察天下りを受け入れる企業のリスト」を発表していたので、それも紹介しよう。
官僚(国民からの行政の受任者)の犯罪備忘録: 2006年2月16日
朝日新聞より
ただ、上の図を見ても分かる通り、公益・特殊法人などに限っては、警察庁の天下り、出向者数は年間500人弱に限られ、国交省、厚労省、文科省、農水省、総務省、経産省、法務省、防衛省、財務省、外務省、内閣府に比べると人数は少なくなっている。一般企業への天下り人数はわからないが、
My News
Japanには、警察庁だけではなく、全ての官僚の天下り先を調査して欲しい。
それでは、まずは植草一秀氏の天下り問題についての貴重な記事を紹介させていただきたい。
植草一秀の『知られざる真実』「1600年体制」からの脱却
植草氏は、まずは、官僚によって書かれたであろう
ウィキペディアの「天下り」の批判をした上で、「天下り」を全面的に廃止すべき五つの理由を述べられている。
「天下り」を全面的に廃止すべき理由は以下の五つだ。
@国家財政が窮乏している。社会保障制度を持続可能なものに再構築するためには国民の負担増大も検討しなければならない。そのようななかで、「特権官僚」に対する「特権的」不正支出を国民は容認しない。
A「天下り」が「政官業外電
悪徳のペンタゴン」による癒着が払拭されない重要な原因になっている。
B「天下り」の言葉が象徴する「上下の人間関係」は「法の下の平等」を定めた日本国憲法の精神に反する。国民に残存する「お上と民の精神構造」を払拭しなければならない。
C「優秀な人材が公務員を志望しなくなる」との反論があるが、「第場K種」試験に合格する程度の能力があれば十分である。政策を立案するのは「政治」の役割だ。「霞が関」が「永田町」を支配することが本末転倒なのだ。
政治家の責任ある決定を着実に実行するのが公務員の役割だ。少数採用で将来の幹部を約束する「第場J種」制度が「勘違い」官僚を生み出す原因になっている。「勘違い」官僚は自分たちが日本の政策を決定する能力と権限を持っていると「勘違い」している。
一般的な「非第場J種」公務員が備えている「善良さと勤勉さ」が「公務員」に求められる最も重要な資質だ。政策立案能力に秀でており、社会に貢献したいと考える人材は政治家を志望するべきだ。
D「天下り」を受け入れる企業や団体には、生え抜きの職員が多数存在する。それらの企業や団体の幹部には生え抜き職員が就くべきである。「天下り」ポストが各省庁の「利権」になっていることが問題だ。
又、 植草氏の著書『日本の総決算』場N「官僚主権構造」から「1600年体制」と記述された部分を紹介されている。
「官僚機構という公権力が圧倒的な実験を握り、国民がその被支配者であるという構造。国民の側にある自ら従属しようという民としての意識。これらが定着したのは、おそらく江戸時代である。現代の日本の権力構造、そしてその権力構造を支えている精神構造は江戸時代にしっかり定着したものであり、そうした意味で現在の体制は1600年体制と呼んでもよい。」
テレビドラマ「水戸黄門」は日本の人気テレビドラマのひとつだ。商人に扮する水戸黄門一行が悪代官率いる悪党官吏を切りつけるとクライマックスだ。「葵の御紋」の印籠をかざすと、皆がひれ伏す。「お上」の権威に「下々」がひれ伏すのだ。
日本国民にまだ「下々」意識が残存しているのではないか。「天下り」を当然と考える「特権官僚」は自らを「お上」と勘違いしているのではないか。
関東地方の有力地銀頭取ポストは財務省次官経験者の指定席だ。極めて優秀な生え抜きの副頭取を私はよく知っていた。しかし、財務省出身頭取が君臨し、副頭取は銀行を追放された。
九州地方にも同じような銀行がある。県内の地方銀行と合併し、財務省出身頭取が実権を奪った。銀行は頭取と財務省のつながりを重視して「天下り」人事を受け入れているのだ。
「国民」が主権者である「新しい日本」を作る第一歩が「天下り」の全面廃止である。自公政権に「天下り」を根絶する意思が存在しないことは間違いない。「天下り」を根絶し「国民主権国家」構築を有権者が望むなら、政権交代を実現しなければならない。
野党は総選挙のマニフェストに「天下り根絶」を明記しなければならない。政権交代を実現し、「天下り」を根絶して、初めて「新しい日本」の歩みが始まる。
有権者が「お上と民の精神構造」=「1600年体制」から抜け出せないなら、変化は生じない。「天下り」根絶を明記する野党の行動は不可欠だが、国民が「お上と民の精神構造」から脱却して初めて「真正の改革」が動き出すことを認識しなければならない。
こう考えると、水戸黄門もプロパガンダだったんだね。確かに、天下りが根絶することなく続いているのは、水戸黄門などのプロパガンダを垂れ流すテレビ局や政府御用達であるゴミウリ新聞が、国民に「官僚」=「お上」意識を植え付け続けていることに起因するのだろう。
本来、官僚は、国民の生活向上のために働く下僕として存在するべきであって、昼はネットカフェ状態の職場でゲームをしながら、リクリエーション費に血税を湯水のごとく使いまくった末に、退職後は天下りでろくに仕事もしないで高給をもらうために存在するわけではないということを忘れてはならない。もちろん、中には国民のために一生懸命働いている官僚もいるだろうけど、将来、天下りをするような官僚ほど、仕事はろくすぽせずに利権ばかり漁っているのではないか。
自公政権では天下りの絶滅は全く期待できないので、政権交代で天下り根絶を目指すしかないだろう。
次に、
My News
Japanが警察天下りを受け入れる企業のリストを公開していたので、紹介したい。就職人気ランク常連企業以外のリストは、会員にならないと見る事ができないことになっている。
警察天下りを受け入れるダメ企業393社リスト(渡邉正裕09:26 07/30 2008)
官庁の斡旋による押し付け的な天下りが政府の行革で問題となるなかでも、懲りずに受け入れる企業が後を絶たない。警察報道の第一人者、ジャーナリストの寺澤有氏が明らかにした警視庁の天下り先リストによれば、過去2年ほどの間に、大企業・有名企業を多数含む393もの企業(団体)が天下りを受け入れていた。リストを見ると、スネに傷を持つ“問題企業”がズラリと並び、読売新聞など官僚機構を監視すべきマスコミ企業までが天下りを受け入れている。これら企業は、働く場としては避けたほうがよさそうだ。(全393データ一覧付き)
【Digest】
◇「どこでやめてもらえるか」で実質的な取引
◇インフラ、重厚長大産業は警察以外でも多い
◇ドワンゴにまで入り込む警察OB
◇パチンコを無理やり合法化して天下る
◇年1万人前後、10年間続く退職者
続きを読む
関連記事:
松下が『宝島』に圧力 警察天下り受け入れの特集6ページがボツに(渡邉正裕 15:40 04/05
2008)
松下電器に屈服した朝日新聞(渡邉正裕 07:09 04/17
2005)
しかし、公正な報道をこころがけるべき大手新聞社「ゴミウリ」にも警察が天下っていたとは、恐れ入った。きっと警察だけではなく、他の官庁からもワンサカ天下っているのだろう。どうりで内閣支持率を捏造したり、民主党小沢代表に不利なニュースを垂れ流したりと政府寄りの記事が多すぎるわけだ。
今日はまた、民主党を混乱させるために代表選をなんとかやらせようとして下記のような記事を書いている。
民主代表選は「複数候補で選挙を」71%…読売調査(8月13日)
少し前には、福田内閣改造直後の内閣支持率が他の新聞社と比べて異常に高い調査結果をだしていた。又、古い体質のゴミウリ新聞社では、麻生太郎をなんとか時期総理にさせたいらしく、麻生マンセーの記事を全面的に押し出している。
内閣支持41%に好転、「麻生幹事長」評価66%…読売調査(8月3日)
上の記事だって、内閣の人気調査で中山拉致問題相や舛添厚生労働相への評価は75%前後と麻生より高いのに、この記事のタイトルは「麻生幹事長」評価66%となっている。一方、郵政民営化に反対した野田聖子消費者相については、「「評価する」は41%にとどまり、「評価しない」44%の方が多かった」、与謝野馨経済財政相についても、「「評価する」は33%と「評価しない」の43%を下回った」としているが、同じく「評価する」が42.7%と評価の低かった町村官房長官には触れていない。
ゴミウリは、さすがにこの捏造した数字は他社とかけ離れすぎていてまずいと思ったのか、このあとすぐに別の内閣支持率の結果を出している。
内閣支持率28%、物価対策「不適切」は89%…読売調査(8月11日)
この差は何?と思っちゃうけど、二つの調査の違いとしては電話方式と面接方式の違いと改造から日数の経過があるが、きっと他社との差がありすぎたので調整したに違いない。それにしても、調査回答者の人数も書かずにこういった捏造結果を紙面で発表するというのは、いかがわしいと思われてもしょうがないだろう。
ゴミウリが国民に伝えたいのは、「自民党を支持し続けよ。そして、次期総理は麻生太郎がなるべき。」というプロパガンダで、全ての記事がこのプロパガンダを基本に書かれている。自民党がもっとも恐れる政権交代を実現しようとしている民主党の小沢一郎代表は、できれば衆院選前につぶしたいと思っているのだろう。去年の自民党・民主党の連立政権問題などがその一つだが、今度は民主党代表選をやって、なんとか小沢一郎を代表の座からおろし、民主党勢力を弱めたいと考えているようだ。残念ながらゴミウリの思惑通りになる可能性は0に等しいだろう。
ゴミウリというのは、政府御用達マスゴミの中でも最も大きなゴミというのがわかったが、何と単純思考でわかりやすいゴミなのだろう。
追記:
いつも貴重なコメントをいただいている
ゴルゴ十三さんが警察とゴミウリのつながりについてコメント下さったので追記する。
正力松太郎
読売は警察官僚だった正力松太郎が大きくし、息子の亨が現在も社主(オーナー)です。娘と結婚した女婿、小林與三次は元内務官僚で読売新聞・日テレ両社の社長でした。松太郎は「日本のプロ野球の父、テレビ放送の父、原子力の父」と呼ばれています。元から一番政府寄りなのも当然でしょう。警察(消防)ネタがお家芸でとりわけ警視庁/東京消防庁ネタが一番強いのは言うまでもありません。東京消防庁ネタが一面トップになり、社説にも取り上げられたのを確認しています。
安心・安全を掲げた治安防災権力の強化は結局は治安防災防犯産業だけではなく多くの産業に権限強化・利権確保をもたらしたと言うことでしょう。何しろ団塊世代だけではなくその後10年くらい警察は大量採用したので(学生運動鎮圧のため)彼らの世話も兼ねています。