土曜日(3日)、日本テレビで辛坊治郎氏の司会で朝八時からやっている番組「ウェークアップ!ぷらす」に、亀井静香大臣が出ていた。亀井大臣を紹介する字幕には、役職名が亀井『金融・郵政大臣』となっていた。穿ちすぎかもしれないが、日テレはよっぽど郵政民営化見直し問題を報道したくないのかと、一瞬思った。
もちろん、亀井氏は、金融と郵政を兼務しているので、亀井氏への質問が中小企業への金融対策から始まって、後で郵政見直し問題の順番にやるのであれば、『金融・郵政担当』と書いても別に問題ないと思うが、気のせいかテレビ局側の深層心理に郵政見直し問題は極力回避したい思いが見える。管理人が知る範囲で、組閣から17日も経っているのに、テレビが亀井大臣の郵政見直し問題について、まともに取り上げた場面は、この番組が初めてである。郵政と金融の二つの役職を兼ねた大臣の、呼称の順序が瑣末だとは思えない。
1953年の第五福竜丸事件の後、国内は反米、反原子力感情が強くなっていた。CIAは当時の正力松太郎読売新聞社主を通じて親米キャンペーンを行った。全国縦断マイクロ波通信網を建設させようとしていた。これが国内テレビの歴史的発展の底流にある。読売グループが対米隷従の性格を強く有することは国内メディアの伝統に通じると思う。
2007年10月1日には郵政民営化の始動を控えていたが、この直前には麻生太郎氏と福田康夫氏の総裁選が行われた。読売グループは反麻生キャンペーンを露骨に張り、その結果、福田氏が総理の座を射止めた。当時、管理人はその理由を、麻生氏が実は四分社化体制に反対していたからだと指摘した。郵政が四分社形態を取らなければ、ゆうちょとかんぽ資金を米系外資が掌握できないからだ。郵政資金の収奪を企んでいる米系外資はゴールドマン・サックスである。この収奪計画は、民主党が政権を取り、亀井静香氏が郵政・金融大臣に就任した現在も、着々と進行中である。
だからこそ、テレビや新聞は亀井大臣から、郵政民営化の見直しをインタビューすることが、いまだに不文律となっていて、組閣から17日も経過しているのに、亀井大臣に尋ねることは中小企業への金融対策のみである。ところが、それだけでは不自然なので、日本テレビは「ウェークアップ!ぷらす」で、嫌々ながら亀井大臣の郵政民営化も直し問題に触れた。コメンテーターは、辛坊治郎氏を筆頭に高橋進(すすむ)氏等、小泉政権の立場に立った者が、亀井大臣をやり込めようと、てぐすね引いて待ち受けていた。
日テレが日本総研の副理事長である高橋進氏を亀井大臣にぶつける意図ははっきりしていた。金融政策と郵政民営化の見直しに対して、完膚なきまでに論破する計画だったようだ。ところが、痛快なことにテレビ局の思惑に反して、司会の辛坊治郎氏も高橋進氏も亀井大臣になす術もなく、コテンパンに一喝されていた。海千山千と対峙して来た年長政治家の凄まじい貫禄だった。中小零細企業対策では、政治評論家の森本敏氏も高橋進氏も銀行側に立って、政府が自由金融市場に介入してもいいのかという論調で切り込んだ。
高橋進氏が、こういうモラトリアムだったら、銀行や企業にモラルハザードが起こると反論した時、高橋さん、そんなこと言っちゃダメだよ。あんたね、浮世離れしたことを言っちゃいかんよ、と嗜(たしな)めた。
亀井氏の主張は、現在中小企業が痛んでいるのは、この10年間の小泉政権の政策によるつけで金融収縮が起こり、頑張っている企業の黒字倒産が相次いでいる現実があること、貸し手の銀行には望むままに融資して、いつまでも返済を待つのに、中小零細企業は無慈悲に貸し渋り、貸し剥がしをやっているのはおかしいという主張であった。
亀井大臣の郵政民営化見直しについては、
○小泉、竹中の逆をやればいい。
○昔どおりに戻すことは意味がないが、明治以来の郵便局ネットワークを生かすことを考える。
○国民新党の長谷川憲正君をトップにして頑張る
○郵政関連株の凍結、郵政資産を凍結
○早ければ10月末の臨時国会に各案を提出する
○(政治評論家の森本敏氏が郵便局のサービスは良くなったという発言に対し、)サービスは低下している。遅配、誤配は出てくるし、ゆうちょは50兆円も減った。それは事業がバラバラになったせいだ。(四分社化のせい)
○郵便局はモラル低下を起こしている。良くなっているなんて、とんでもない。
○壊されたネットワークの再構築をやる。(破壊された郵便局インフラの再構築)
番組の大臣に対する態度は総じてひどいものだった。特にひどい質問だと思ったのは、政治評論家の岩井奉信氏の発言だった。「亀井氏の発言は国民新党の存在感を示すためにやっていると思いますが、云々」。これには、さすがに亀井大臣も気色ばんだ。彼はすかさず、「国民新党の存在感を示すためではなく、国民のためだ」と言った。それにしても、まったくひどい質問だ。郵政問題について聞こうという姿勢どころか、こういう愚劣な質問によって番組の構成をぶち壊そうとしていたとしか思えない。日本大学の教授だそうだが、こんな人物に教わる生徒が不幸だ。
番組は郵政民営化見直し問題を真面目に取り上げる姿勢を最初から持たずに、亀井大臣を侮辱して貶める魂胆だったのだろう。これがアメリカに魂を売り渡した売国テレビの実態である。
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民主党は事実上、小沢一郎幹事長が仕切っていることと、郵政民営化の見直し及び金融政策の担当大臣に亀井静香氏が任命されたことは、国内の大手メディアにとって鬼門となったことは確かだ。その理由は、政権交代を成し遂げて小泉・竹中構造改革路線のベクトルを変える唯一の実力者が小沢一郎氏だったからだ。自公政権と大手メディアは小沢氏を叩きまくったが、小沢氏は政治的に生き抜いて、政権交代を実現させた。
しかも、郵政米営化、郵政私物化に対し、真っ向から異を唱える最大の人物である亀井静香氏が担当大臣に起用されたことは、売国マスメディアにとって、最も認めたくないことだったに違いない。郵政民営化は日米二国間マターであり、米国による日本資産の収奪が背景にある。ところが、メディアは郵政民営化のベースにアメリカの意志を絶対に認めない。それは自分たちも、その片棒を担いでいるからだ。